私たちすでに直接民主制を採用している

実は、私たち日本人はすでにある分野で直接民主制を採用しているのです。そう、普段の経済活動です。資本主義市場経済社会における消費者とは、直接民主主義の体現者にほかならないのです。そう考えれば難しいことはありません。私にも読者の皆さんにも、直接民主主義を具現化する能力が備わっているのです。あふれるモノとサービスの中から、自分に一番ふさわしい、自分がもっとも必要としているものを、自分の価値観に見合ったプライスで購入するという能力を有しているのです。

 私たちは、損をしないよう、慎重に情報を集めます。徹底的に見比べます。結果が期待はずれなら、二度とその企業のモノは買いませんし、サービスは受けません。

 こんな高感度の消費者と向き合うのですから、私たち民間企業の経営者は、4年や6年ごとどころか、毎日のように選挙を受けているようなものです。コインや紙幣やクレジットカードという投票権を持った、消費者という名の選挙民に常に選ばれ、あるいは落とされている。そして落選が続けば、市場から退場させられるのです。


「あなたのお金は、直接民主主義の一票です」(渡邉 美樹)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20070618/127694/?P=1